「SESとは何か？」と聞かれて答えられる人は少ないかもしれません。
しかし、SES、つまりシステムエンジニアリングサービスは、我々の生活を豊かで便利にするためのIT技術を支える重要な役割を果たしています。
デジタル化が進む現代社会において、SESの価値と重要性は日々高まっています。
この記事では、SESの全体像を紹介し、就職活動を控えた大学生やSESへの転職を検討している方々に向けて、以下のポイントについて深掘りします。
- SESの市場動向
- SESの魅力
- SESのキャリアパス
あなたのキャリア選択を豊かにする一助となれば幸いです。
SES業界の概観と市場動向
SES業界は、一言で表現するならば、「IT技術の実現者」です。
企業が抱えるさまざまな課題を解決するためのシステムを設計し、開発し、運用する。それがSESの主な役割です。
現在、デジタルトランスフォーメーション（DX）が進行する中、SESの専門知識と技術が求められています。
市場規模と動向
SES業界の市場規模は拡大傾向にあり、特に以下の要素によりその成長は加速しています。
- クラウド化の進行
- AI技術の普及
一方で、技術の進歩は停まることなく、新たな技術が次々と登場するため、SES業界には常に最新の知識とスキルを求められます。
これは一方で、SES業界が絶えず新しい価値を創出し続ける場であるということでもあります。
多様なプロジェクト
SES業界は非常に多様なプロジェクトが存在します。大規模なシステム開発から、特定の業界に特化したソリューション開発、そして新しい技術の研究開発まで、その範囲は広大です。
これは、SES職にとって多様なキャリアパスが存在することを意味しています。
SESの仕事内容
システムエンジニアリングサービス（SES）の仕事内容は多岐にわたりますが、以下のような主要な業務を視覚的に整理します。
システム設計
ESの一つの主要な役割は、顧客の要求に基づいてシステムの設計を行うことです。これには以下のタスクが含まれます。
- 顧客の要求分析
- システムの仕様書作成
- データベース設計
- UI/UX設計
ソフトウェア開発
システムの設計に基づき、SESは具体的なソフトウェアの開発を行います。
- プログラミング（Java、Python、C++など）
- システムのテスト
- バグ修正
- ドキュメンテーション作成
プロジェクト管理
多くのSESは、プロジェクト全体の管理も行います。
- スケジュール管理
- リソース管理
- プロジェクトの進捗報告
- クライアントとのコミュニケーション
技術サポートとメンテナンス
システムの導入後も、SESは顧客サポートとシステムのメンテナンスを担当します。
- システムのトラブルシューティング
- ユーザーサポート
- システムアップデートとメンテナンス
これらの業務を通じて、SESは顧客のビジネスニーズを満たすためのITソリューションを提供します。
SESの就業形態
SES（システムエンジニアリングサービス）の就業形態は、その業務内容や契約形態によって大きく異なります。一般的には、以下のような就業形態が考えられます。
- 客先常駐: この形態では、SESのエンジニアはクライアントのオフィスや工場で直接作業を行います。この形態はプロジェクトのコミュニケーションを容易にするとともに、クライアントのビジネス環境をより深く理解することができます。
- 派遣: 一部のSESは、エンジニアを一定期間、クライアント企業に派遣する形態をとることもあります。この形態は、特定のプロジェクトや短期的なニーズに対応するために用いられます。
- 社内勤務: また、全ての作業がSESのオフィス内で完結することもあります。これは、特にリモートワークが普及した現代では、ますます一般的な形態となっています。
これらの就業形態は、プロジェクトの性質、クライアントの要望、SESのポリシーなどによって決定されます。
また、技術の進歩や社会環境の変化により、リモートワークやフレキシブルな働き方が可能な場合も増えています。そのため、一概にどの就業形態が多いかを断言することは難しいです。
新卒1年目でも客先常駐や派遣になる可能性はある？
新卒1年目のSES（システムエンジニアリングサービス）エンジニアが客先常駐や派遣になる可能性は十分にあります。
しかし、その可能性は企業のポリシー、プロジェクトのニーズ、個々のスキルや適性などによります。
一部の企業では、新卒エンジニアに対して一定期間の研修やメンターシップを提供し、必要なスキルと経験を身につけた上で、初めて客先に派遣するという方針をとる場合もあります。
これは、エンジニアが十分にスキルを獲得し、自信を持って仕事に取り組むことができるようにするための方策です。
一方で、新卒1年目から直接客先常駐や派遣になる場合もあります。これは特に、エンジニアが特定の技術や業界に対する既存の知識やスキルを持っている場合、または特定のプロジェクトが初級レベルのエンジニアを必要としている場合に見られます。
したがって、新卒1年目でも客先常駐や派遣になる可能性はありますが、具体的な状況は企業やプロジェクト、個々のエンジニアの状況によります。
SESが客先常駐や派遣で働くデメリット
システムエンジニアリングサービス（SES）のエンジニアが客先常駐や派遣で働く際のデメリットは、以下のようなものが考えられます：
チームとの連携
- 情報共有の難しさ: 自社のチームと物理的に離れて働くことで、プロジェクトの進行状況や問題点を共有するのが難しくなる場合があります。
- 社内文化の違い: 自社とクライアント企業の社風や働き方が異なる場合、適応するのに時間がかかるかもしれません。
キャリアパス
- 専門スキルの限定: 一つのクライアントやプロジェクトに長期間関わると、そのクライアント特有のシステムや業界知識に習熟する一方で、他の技術や業界知識を獲得する機会が減る可能性があります。
- 成長の見えづらさ: 自社の上司やマネージャーが日々の業務を直接見る機会が少ないため、パフォーマンス評価や昇進の機会が限定される可能性があります。
ワークライフバランス
- 通勤時間の増加: 自社オフィスから遠いクライアント先に出向することで、通勤時間が長くなる可能性があります。
これらのデメリットは、企業のポリシー、プロジェクト管理のスキル、個々の適応能力などにより、大きく影響を受けます。
また、これらのデメリットを克服するための支援体制や仕組みをSES企業自体が提供している場合もあります。
SESの魅力とそのキャリアパス
SESの3つの魅力
SESの魅力は多岐にわたりますが、ここでは特に以下の3点に焦点を当てます。
- 技術者としてのスキルアップ: SESは、最新のIT技術を学び続ける必要があるため、技術者としてのスキルを磨く絶好の場となります。また、さまざまなプロジェクトに参加することで、幅広い知識と経験を積むことができます。
- ビジネススキルの獲得: SESは、顧客のビジネス課題を解決するためのシステムを設計・開発するため、ビジネスの理解とそれを形にする能力が必要となります。これは、IT技術だけでなく、ビジネススキルも同時に磨けるという大きな魅力です。
- 社会貢献: SESの仕事は、社会や人々の生活をより良くするためのシステムを開発することです。そのため、自分の働きが社会に影響を与えることを実感できます。
SESのキャリアパス
SES業界でのキャリアパスは多様です。新入社員から始まり、経験を積むことでプロジェクトリーダーやマネージャーに昇進する道があります。また、特定の技術や領域に深く専門化する技術エキスパートの道もあります。
さらに、SESの経験は他のIT関連の職種へのステップアップにも役立ちます。たとえば、プロジェクトマネージャー、ITコンサルタント、データアナリスト、AIエンジニアなどへの道が開かれています。
次のセクションでは、SESへの転職を成功させるためのステップについて詳しく解説します。
SESという仕事のデメリット
システムエンジニアリングサービス（SES）として働く際のデメリットは、以下のようなものが考えられます：
プロジェクト依存の不安定性
- プロジェクト終了後の不確定性: SESの仕事はクライアントのプロジェクトに大きく依存しています。そのため、プロジェクトが終了した後の仕事の確保に不安を感じることがあります。
- 収入の変動: 一部のSESはプロジェクトベースの報酬制度を採用しているため、プロジェクトの有無や規模によって収入が変動する可能性があります。
キャリアパス
- 専門スキルの限定: 特定のクライアントやプロジェクトに長期間関わると、そのクライアント特有のシステムや業界知識に習熟する一方で、他の技術や業界知識を獲得する機会が減る可能性があります。
- スキルのアップデート: IT業界は急速に進化しています。そのため、新しい技術やトレンドを学び続ける必要があります。しかし、特定のプロジェクトに集中していると、新しい知識やスキルの習得に十分な時間を確保するのが難しくなることがあります。
ワークライフバランス
- 働き方の制限: SESは基本的にクライアントのニーズに応じて働くため、自身の働き方を自由に選択する余地が限られる可能性があります。例えば、リモートワークの導入やフレキシブルな勤務時間の設定が難しい場合があります。
これらのデメリットは、SES企業のポリシー、個々のスキルや適応能力、そして個々のライフスタイルによって大きく影響を受けます。
また、これらのデメリットを克服するための支援体制や仕組みをSES企業自体が提供している場合もあります。
SESが向いている人の特徴
システムエンジニアリングサービス（SES）のエンジニアとして適性があると考えられる人の特性は以下のようなものがあります：
技術的スキルと好奇心
- 技術的能力: SESエンジニアとしては、コンピューターサイエンスの基本的な知識やプログラミングスキルが必要となります。
- 学習意欲: IT業界は常に変化し続けています。新しい技術や言語、フレームワークを学び続ける能力と好奇心が必要です。
コミュニケーションスキル
- 良好な人間関係: SESエンジニアは、自社のチームだけでなくクライアントとも頻繁にコミュニケーションをとるため、良好な人間関係を築くスキルが求められます。
- 明確なコミュニケーション: 自分の考えを明確に伝え、他人の意見を理解する能力も重要です。これにはリスニングスキルも含まれます。
問題解決能力
- 解決策を見つける: SESエンジニアは様々な問題に直面します。そのため、クリエイティブに問題解決を行う能力が重要です。
- ストレス耐性: プロジェクトは常に期限や予算などの制約があります。そのため、プレッシャーの下でも効率的に働ける人が適しています。
これらは一部の特性であり、全てを持っている必要はありません。また、SESエンジニアは経験と共にこれらのスキルを磨いていきます。
「自分はSESに向いているのか？」という疑問を解決するのには、インターンを活用するのが有効です。
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SESへの転職を成功させるためのステップ
自己分析
転職成功の第一歩は、自己分析から始まります。自分のスキル、経験、そして何よりもSESへの興味や動機を明確にすることが重要です。以下の点について考えてみてください。
- 自分がSESで何を達成したいのか
- 自分の強みや経験がSESでどのように活かせるか
- SES業界で学びたい技術や知識は何か
SES業界のリサーチ
次に、SES業界のリサーチが必要です。どの企業があなたの希望するプロジェクトを手がけているのか、どの企業があなたのスキルや経験を求めているのかを調査します。
履歴書と職務経歴書の作成
次に、SES業界への転職を目指すための履歴書と職務経歴書を作成します。あなたのスキルや経験、SESへの興味や動機を明確に伝えることが重要です。
面接対策
最後に、面接対策です。面接ではあなたの技術的な知識だけでなく、コミュニケーション能力や問題解決能力も評価されます。また、あなたのSESへの情熱や意欲も重要な判断材料となります。
このようなステップを踏むことで、SESへの転職を成功させる確率が高まります。
転職については、下記リンクの記事で詳しく取り上げています。興味があったら読んでみてください。↓
SESで成功するためのスキルと知識
技術的なスキル
SESで成功するためには、まず基本的なプログラミングスキルが必要です。一般的に、JavaやPythonなどのプログラミング言語、データベースの知識、そしてシステム設計の基本的な理解が求められます。
さらに、SESの仕事は常に進化しているため、新しい技術トレンドを学び続ける姿勢が重要です。たとえば、クラウド技術、AI、マシンラーニング、ブロックチェーンなどの知識も役立つでしょう。
ビジネススキル
技術スキルだけでなく、ビジネススキルもSESで成功するために重要です。
顧客のビジネス課題を理解し、それを解決するためのシステムを設計・開発する能力が必要となります。このためには、ビジネス戦略やプロジェクト管理の基本的な知識が求められます。
コミュニケーションスキル
最後に、コミュニケーションスキルはSESの仕事において絶対に必要なスキルです。
顧客とのコミュニケーション、プロジェクトチーム内でのコミュニケーション、そして必要に応じて他部署や他企業とのコミュニケーションが求められます。
以上がSESで成功するための基本的なスキルと知識です。
しかし、これらはあくまで基本であり、それぞれのSES職が必要とするスキルや知識は、プロジェクトや役職、企業によって大きく変わる可能性があります。
そのため、自分のキャリアパスに合わせてスキルや知識を磨いていくことが大切です。
SESとPO
SES（システムエンジニアリングサービス）とPO（Product Owner）は、ソフトウェア開発プロジェクトにおける異なる役割を担う存在です。彼らの関係性は以下のように視覚的に整理することができます。
SESとPOの違い
SESの役割
- 技術的な視点からのソリューションの提供: SESは、ITソリューションを提供する企業で、顧客からの要件定義を受け取り、それに基づいてソフトウェア開発やシステムの設計・構築を行います。
- 複数プロジェクトの管理: 一般的に、SESのエンジニアは複数のプロジェクトを同時に手がけることが多く、顧客と直接やり取りしながら、技術的な視点から最適なソリューションを提案します。
POの役割
- プロジェクトの要件定義と優先順位付け: PO（Product Owner）は、特にアジャイル開発（Scrumなど）における役割で、プロジェクトの要件定義や優先順位付けを行います。
- ビジネスと開発チームの橋渡し: POは顧客（ビジネスサイド）の要望を理解し、それを開発チームに伝える役割を果たします。POは開発チームと顧客の間でコミュニケーションを取り、プロジェクトがビジネスの目標に沿った形で進行することを確認します。
SESとPOの関係性
- SESが技術的なソリューションを提供し、POがそれを評価: SESのエンジニアが技術的な視点からソリューションを提供し、POがそのソリューションがビジネスの目標に合致するかを評価し、方向性を定めるという役割分担が見られます。
- プロジェクトの成功に向けた協力: SESとPOはそれぞれ異なる視点からプロジェクトを支え、互いに協力しながらプロジェクトの成功に向けて働きます。
したがって、SESとPOは異なる役割を持ちながらも、共にプロジェクトの成功に向けて協力する重要な存在と言えます。
SESからPOになることはキャリアアップなのか？
SES（システムエンジニアリングサービス）からPO（Product Owner）への移行は、個々のキャリア目標や価値観によります。以下のような視点から考えることができます。
キャリアアップと見なす視点
- ビジネス戦略への関与: POは、ビジネス戦略やプロダクトマネジメントのスキルを磨く機会が増え、より高いレベルの意思決定に関与することが多くなるでしょう。これは、特にビジネスと技術の両面に興味がある人や、リーダーシップポジションを目指している人にとっては魅力的なキャリアパスとなります。
- ステークホルダーとのコミュニケーション: POは、開発チームだけでなく、ビジネスステークホルダーとも頻繁にコミュニケーションを取る必要があります。これにより、人間関係の構築や交渉スキルを磨くことができます。
キャリアアップと見なさない視点
- 技術的な深化: SESの役割では、深い技術的な知識とスキルを磨く機会が多くあります。このような技術的な深化を望む人にとっては、SESの役割で更なるスキルアップを目指すことが適しているかもしれません。
- 専門分野の変更: SESからPOに移行すると、技術的な役割からビジネスサイドの役割へと焦点が移るため、これまでの専門分野が変更される可能性があります。これは、すでに深い専門知識を持っているSESにとっては、新たな学習を必要とする挑戦となるかもしれません。
したがって、SESからPOになることが「キャリアアップ」かどうかは、個々のキャリアの目標、スキル、興味、そして価値観に大きく依存します。
SESとSlerの違い
SES（システムエンジニアリングサービス）とSIer（システムインテグレーター）は、ITプロジェクトやシステム開発における役割や業務形態、報酬の支払い対象などにおいて明確な違いを持っています。
SESの特徴
- 業務内容: クライアントから委託された情報システムの開発、保守、運用を担当
- 契約対象: SES会社のエンジニア
- 契約形態: 準委任契約
- 業務形態: クライアント企業に常駐し、技術的なサービスを提供
- 報酬対象: 技術者の業務遂行に対して報酬が支払われる
SESは、情報システムの開発・保守・運用に関連する業務を委託される形態です。主に、クライアント企業のオフィスに常駐し、技術的なサービスを提供します。
ここで契約されるのは、SES会社のエンジニアで、その技術者の業務遂行に対して報酬が支払われます。
SIer
- 業務内容: クライアントから委託された情報システム開発の全工程（企画、設計、開発、構築、導入、保守、運用など）を請け負う
- 契約対象: SIer企業
- 契約形態: 請負契約
- 業務形態: SIerで自社開発を行い、システムをクライアントに提供
- 報酬対象: 納品されたシステムやその運用・保守に対して報酬が支払われる
SIerは、情報システムの全工程、すなわち企画、設計、開発、構築、導入、保守、運用などを一手に請け負う企業を指します。
この場合、契約するのはSIer企業であり、納品されたシステムやその運用・保守に対して報酬が支払われます。
SESとSIerの主な違いは、SESが他社のエンジニアを活用して特定のエンジニアリングリソースを提供するのに対し、SIerは全体的なシステムソリューションを提供する企業であるという点です。
まとめ｜SESという選択肢
これまでの記事を通じて、SESの業界とその魅力、そしてSESへの転職を成功させるためのステップについて詳しく解説してきました。さらに、SESで成功するためのスキルと知識についても触れてきました。
SESは、技術者としてのスキルを磨きながら、ビジネスの視点から課題を解決し、社会貢献を実現できる職種と言えます。その多様性と挑戦性は、新たなキャリアパスとして魅力的です。
しかし、転職は大きな決断であり、それぞれの人にとって最適な選択肢は異なります。ここで重要なのは、あなた自身の価値観や目指すキャリア、そして何よりもあなたが何を達成したいのかを明確にすることです。
SESという選択肢があなたのキャリアにとって最適な道であると感じたなら、ぜひその一歩を踏み出してみてください。あなたの決断と努力が、新たな可能性を切り開くことでしょう。
