DINKs(Double Income No Kids)パワーカップルとは、共に働き、子供のいないカップルのことを指します。
経済的自由度と自分たちの時間を最大限に活用するこのライフスタイルは、多くの人々にとって魅力的な選択肢となっています。
この記事では、その特徴とメリット、成功するための要素について詳しく探っていきます。これからDINKsパワーカップルとしての生活を考えている方、または既にその生活を送っている方にとって有益な情報を提供することを目指します。
近年DINKsパワーカップルは増加傾向にある
近年、DINKsパワーカップルは増加傾向にあります。ここでは、その理由や背景、DINKsパワーカップルの年収などについてご紹介します。
記事内で使用している数値については、下記の統計データやリポートを参考にしています。
参照データ・リポート:
- 令和4年賃金構造基本統計調査
- 令和3年分 民間給与実態統計調査
- 令和3年国民生活基礎調査
- 令和4年 労働力調査年報
- ニッセイ基礎研究所/パワーカップル世帯の動向-コロナ禍でも増加、夫の年収1500万円以上でも妻の過半数は就労
- ニッセイ基礎研究所/パワーカップル世帯の動向-コロナ禍でも増加、夫の年収1500万円以上でも妻の約6割は就労
DINKsパワーカップルの年収は?
「ニッセイ基礎研究所/パワーカップル世帯の動向-コロナ禍でも増加、夫の年収1500万円以上でも妻の過半数は就労」のリポート内では、DINKsパワーカップルの年収は男女ともに700万円以上と定義されています。
これは明確な根拠による定義というわけではなく、全体から見た印象や便宜的なものです。そのため、「夫:年収600万円以上+妻:年収400万円以上」、逆に「夫:年収400万円以上+妻:年収600万円以上」といったように、世帯年収が1,000万円を超えるようなケースもDINKsパワーカップルに該当するものと考えられます。
DINKsパワーカップル世帯の所得分布の全体像
「令和3年分 民間給与実態統」によれば、日本の平均年収は443万円(男性:545万円、女性:302万円)です。
しかし、「令和4年賃金構造基本統計調査」の中央値を見てみると、「男性:約301万円、女性:約237万円」でした。
こうしたことから、DINKsパワーカップルは平均に比べ2倍以上の収入を得ていることが分かります。
加えて、DINKsパワーカップルは共働きが前提なため、夫だけの収入で生活している世帯に比べて、世帯収入は2倍〜4倍以上あり、経済的に余裕があります。
また、所得分布の全体を見てみると、年収が1,200万円から1,500万円未満の世帯は全体の約4.0%、1,500万円から2,000万円未満の世帯は約2.0%、2,000万円以上の世帯は約1.0%を占めています。
DINKsパワーカップルが多い年代は?
DINKsパワーカップル自体は、20代から50代以上まで幅広い年代で存在しています。ただ、中でも30代と40代に多く、近年では30代のDINKsパワーカップルの増加が顕著です。
30代や40代のDINKsパワーカップルは、互いに管理職といったマネジメントクラスになっているケースが多く、経済的にもキャリア的にも安定している傾向があります。
DINKsパワーカップルの動向
日本では、夫婦共に就業者の世帯(共働き世帯)は全体の約30%を占めています。
共働き世帯における妻の年収による夫の年収の分布を見ると、妻の年収が高いほど夫も高年収の割合が高まる傾向があります。年収1,000万円以上の妻の58.3%が、夫も年収1,000万円以上です。
DINKsパワーカップル世帯の数は2021年時点で31万世帯とされ、全体の0.56%、共働き世帯の約2.0%を占めています。
他に比べるとまだ数が少ないDINKsパワーカップルですが、新型コロナウィルス禍でも増加傾向にありました。
DINKsパワーカップルは購買力が高い
DINKsパワーカップルは、消費市場に対して大きな影響力を持っています。彼らの消費意欲は旺盛で、一部の消費市場を活性化させ、その規模はじわりと拡大していくと見られています。
また、女性が働き続けられる環境が整備され、その収入が増えれば個人消費の底上げにつながります。
年収階級別に単身勤労者世帯の男女の消費性向を比べると、女性が男性をおおむね上回るため、この点は特に注目に値します。
DINKsパワーカップル増加の背景
価値観の変容
共働きがスタンダードになる中で、仕事と家庭のどちらかを選ぶのではなく、仕事と結婚の両立を望む女性が増えています。
そしてそれは男性にも当てはまり、男女が肩を並べて社会で活躍することを普通のこととして捉える意識が強まっています。
仕事と家庭の両立環境の整備
近年、出産後も正社員として働き続けることで収入を大幅に減らさずにキャリアを積む女性が増えています。
これは、仕事と家庭の両立環境が整備された結果です。そして、こうした環境整備は、特に若い世代のDINKsパワーカップルの増加にも影響を与えています。
DINKsパワーカップルの特徴とメリット
DINKsパワーカップルの生活は、その定義からも分かるように、経済的な自由度と時間的な自由度の二つの主要な特徴によって特徴付けられます。
以下に、それぞれの特徴とそれがもたらすメリットについて詳しく見ていきましょう。
経済的な自由度
メリット1:豊かな生活
子供のいないカップルは、子供の教育や日々の生活費にかかるコストを節約できます。その結果、より豊かな生活を送ることが可能になります。
メリット2:投資と貯蓄の機会
二人の収入と出費の少なさから、投資や貯蓄に回せるお金が増えます。これにより、より早い時期に経済的な安定を達成したり、リタイアメントプランを立てたりすることが可能になります。
時間的な自由度
メリット1:自己実現
子供を育てるための時間やエネルギーが必要ないため、自己実現に向けての時間やエネルギーを多く投資することができます。
これにより、キャリアの向上、趣味やパッションの追求、自己啓発など、自分自身の成長に集中できます。
メリット2:パートナーシップの深化
子供のいないカップルは、パートナーとの時間をより多く持つことができます。これにより、パートナーシップの深化や、共通の趣味や旅行などを通じた絆の強化が可能になります。
DINKsパワーカップルとして成功するための要素
DINKsパワーカップルとしての生活を成功させるためには、いくつかの重要な要素があります。以下に、その主要な要素について詳しく見ていきましょう。
ファイナンシャルプランニング
DINKsパワーカップルは、経済的自由度が高い一方で、その利点を最大限に活かすためには、適切なファイナンシャルプランニングが必要です。
要素1:貯蓄と投資の計画
二人の収入を最大限に活用し、早期リタイアメントや豊かな生活を実現するための貯蓄と投資の計画を立てることが重要です。
要素2:退職後の生活設計
子供がいない場合、老後の生活費やケアの問題を特に考慮する必要があります。適切なリタイアメントプランを立て、必要な費用を確保することが重要です。
キャリアパス
DINKsパワーカップルは、子供がいないため、キャリアに対するアプローチが一般的な家庭とは異なる可能性があります。
要素1:キャリアの追求
よりリスキーなキャリアパスを選択する自由度があります。たとえば、起業する、フリーランスになる、または専門性を深めるなどの選択肢が考えられます。
要素2:ワークライフバランス
子供がいないため、働く時間と休む時間のバランスを自由に設定することが可能です。これにより、ストレスの管理や充実したパーソナルライフの実現に役立ちます。
ライフスタイルの選択
DINKsパワーカップルは、時間とお金の自由度を最大限に活用するためのライフスタイルを自由に選ぶことができます。
要素1:趣味とパッション
趣味やパッションを追求する時間と資源が豊富にあるため、それらを活用して充実したライフスタイルを実現することが可能です。
要素2:旅行と冒険
休暇を取る自由度が高いため、旅行や冒険を通じて新しい経験を積むことが可能です。
これらの要素を考慮に入れ、DINKsパワーカップルとしての生活を計画することで、より成功したライフスタイルを実現することが可能になります。
DINKsパワーカップルの課題と対策
DINKsパワーカップルのライフスタイルは多くのメリットを持つ一方で、いくつかの課題も存在します。これらの課題とそれに対する可能な対策を以下に詳しく見ていきましょう。
経済的な安定性
課題1:経済的な変動
二つの収入がある一方で、その収入が失われた場合の影響は大きいです。経済的な変動や一方のパートナーが仕事を失った場合に備える必要があります。
対策1:緊急費用の確保
一定の緊急費用を確保することで、短期的な経済的な変動に対応することができます。
対策2:収入源の多様化
投資や副業を通じて収入源を多様化することで、一部の収入が失われた場合でも対応できます。
老後の問題
課題1:老後のケア
子供がいない場合、老後のケアや支援を受けることが難しくなる可能性があります。
対策1:老後のケアの計画
早い段階で老後のケアについての計画を立て、必要な費用を確保することが重要です。
対策2:コミュニティの活用
社会的なネットワークやコミュニティを構築しておくことで、必要な支援を得ることが可能になります。
DINKsパワーカップルは一般世帯に比べて支出が多い?
DINKsパワーカップルは、一般世帯と比較して、多くの場合、より多くの支出をしていると考えられています。
これは、彼らが高収入であるため、より豊かなライフスタイルを送る余裕があり、より多くの商品やサービスを購入する能力があるからです。
特に日本では、近年、仕事と家庭の両立環境の整備が進み、出産後も正社員として働き続けることで収入を大幅に減らさずにキャリアを積む女性が増え、若い世代でDINKsパワーカップルが増えている傾向があります。
「ニッセイ基礎研究所/パワーカップル世帯の動向-コロナ禍でも増加、夫の年収1500万円以上でも妻の約6割は就労」によれば、DINKsパワーカップルは、時短家電やカット野菜などの時短食材、家事代行サービスなどの利用のほか、都心の高級マンション市場を牽引するなど、消費活動が活発な傾向にあります。
子供を持たないDINKsパワーカップルは、子育てにかかる費用がないため、本来であれば一般世帯よりも支出が少ないと考えられるでしょう。
しかし、統計データが示すように、DINKsパワーカップルは経済的余裕から購買力が高く、結果として子育て世帯よりも支出が多くなることがあります。
DINKsパワーカップルのライフスタイル:子育て世帯よりも暮らしやすい?|まとめ
DINKsパワーカップルとしての生活は、経済的な自由度と時間的な自由度の両方を最大限に活用する魅力的なライフスタイルです。
その一方で、経済的な安定性や老後の問題など、一部の課題も考慮する必要があります。しかし、適切な計画と対策を通じて、これらの課題を乗り越えることは十分に可能です。
DINKsパワーカップルとして成功するためには、ファイナンシャルプランニング、キャリアパスの選択、ライフスタイルの選択など、さまざまな要素を考慮することが重要であると考えられます。
最後に、DINKsパワーカップルとしてのライフスタイルは、一つの選択肢に過ぎません。それが全ての人に適しているわけではなく、また、その選択が全ての人にとって最善の選択であるとは限りません。
それぞれの個々の状況や目標、価値観に基づいて、最適なライフスタイルを選択することが最も重要です。
この記事が、DINKsパワーカップルとしての生活を考えているあなたにとって有益な情報となり、より良い選択をする一助となることを願っています。