CFD(差金決済取引)は、株価指数や商品、FXなどさまざまな金融商品に投資でき、レバレッジを活かした取引ができることから、初心者から経験者まで幅広く注目されています。
一方で、「CFD取引で利益が出たら税金はかかるの?」「確定申告は必要なの?」といった税金面の疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。
特に、CFD取引は株式投資とは税金の扱いが異なるため、正しく理解していないと「知らないうちに申告漏れになっていた…」というリスクもあります。
安心して投資を続けるためには、税金の仕組みや計算方法、確定申告の流れをきちんと押さえておくことが大切です。
この記事では、CFD取引に税金がかかるのかどうかをはじめ、確定申告が必要なケースや税金の計算方法まで、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
■この記事でわかること:
- CFD取引に税金はかかるのか、どんな利益が課税対象になるのか
- CFD取引で確定申告が必要な人・不要な人の違い
- CFD取引にかかる税金の計算方法と申告の基本的な流れ
CFD取引に税金はかかるのか?結論から解説

結論:CFD取引で利益が出た場合、税金はかかる
結論から言うと、CFD取引で利益が出た場合は税金がかかります。
CFD(差金決済取引)は投資によって得た利益とみなされ、日本の税制では「雑所得」として課税対象になります。
そのため、「少額だから大丈夫」「株式と同じ扱いだろう」と考えていると、思わぬ申告漏れにつながる可能性があります。
CFD取引で課税対象となるもの
CFD取引では、以下のような利益が税金の対象です。
- 株価指数CFDや商品CFDの決済による差益
- レバレッジ取引によって発生した売買益
- 年間を通して確定したトータルの利益
一方、含み益(まだ決済していない利益)は課税対象にはなりません。実際に決済が完了したタイミングで税金が発生します。
損失が出た場合は税金はどうなる?
CFD取引で損失が出た場合、税金はかかりません。ただし、損失がある場合でも、
- 他のCFD取引の利益と損益通算
- 翌年以降に使える損失の繰越控除
といった制度を活用できる可能性があります。
正しく税金を理解しておくことで、無駄な税負担を抑えながらCFD取引を続けることができます。
CFD取引の税金の種類と税率

CFD取引は「申告分離課税」が適用される
CFD取引で得た利益は、日本の税制上申告分離課税の対象となります。申告分離課税とは、給与所得や事業所得など他の所得とは分けて税金を計算する仕組みです。
そのため、給与収入が多い人でも、CFD取引の税率が急に上がることはありません。株式投資やFXと似た扱いですが、現物株式とは一部異なる点があるため注意が必要です。
CFD取引にかかる税率は一律20.315%
CFD取引の税率は、利益に対して一律20.315%と決まっています。内訳は以下の通りです。
- 所得税:15%
- 住民税:5%
- 復興特別所得税:0.315%
この税率は、日本国内の金融商品取引業者を通じてCFD取引を行った場合に適用されます。レバレッジ取引で大きな利益が出た場合でも、税率自体は変わらない点が特徴です。
株式・FXとの税金の違い
CFD取引の税金はFXと同じ申告分離課税ですが、現物株式の譲渡益とは別枠で扱われます。そのため、
- CFD同士では損益通算が可能
- 株式の利益や配当金とは損益通算できない
といったルールがあります。取引前に税金の種類と税率を理解しておくことで、安心して投資判断ができるようになります。
CFD取引の確定申告は必要?不要なケースも解説

確定申告が必要な人
CFD取引で利益が出た場合、条件によっては確定申告が必要になります。特に、以下に当てはまる人は注意が必要です。
- 会社員で、CFD取引などの雑所得が年間20万円を超える場合
- 専業投資家や個人事業主など、給与所得がない場合
- CFD取引で利益が発生し、損失の繰越控除を利用したい場合
確定申告をしないと、延滞税や加算税が発生する可能性もあるため、利益が出た年は早めに確認しておきましょう。
確定申告が不要なケース
一方で、すべての人が必ず確定申告をしなければならないわけではありません。次のようなケースでは、原則として確定申告は不要です。
- 会社員で、CFD取引の年間利益が20万円以下の場合
- CFD取引で利益が出ていない(損失のみ)場合
ただし、住民税の申告が別途必要になるケースもあるため、完全に「何もしなくていい」とは限らない点に注意が必要です。
初心者が注意すべきポイント
CFD取引では、年間の取引結果を合算して判断します。1回ごとの利益が小さくても、積み重なると確定申告が必要になることがあります。
取引ツールで年間損益をこまめに確認し、余裕をもって準備することが大切です。
CFD取引の税金の計算方法【具体例あり】

CFD取引の課税対象となる利益の計算方法
CFD取引の税金は、1回ごとの取引ではなく、1年間の取引結果を合算して計算します。基本的な計算式は次の通りです。
- 年間の確定利益 − 年間の確定損失 − 取引手数料 = 課税対象額
この「課税対象額」に対して、申告分離課税の税率20.315%がかかります。未決済のポジション(含み益・含み損)は計算に含まれない点も重要です。
計算例①:利益が出た場合
例えば、1年間のCFD取引で以下の結果だったとします。
- 利益:50万円
- 損失:10万円
- 手数料:2万円
この場合の課税対象額は、
50万円 − 10万円 − 2万円 = 38万円 です。
ここに税率20.315%をかけると、
38万円 × 20.315% ≒ 約77,000円 が税金となります。
計算例②:損失が出た場合
年間の取引結果がマイナスだった場合、税金はかかりません。さらに、確定申告を行えば、翌年以降に損失を繰り越して利益と相殺できる可能性があります。
税金を正しく計算することで、CFD取引の利益をしっかり守ることができます。
CFD取引の確定申告の方法・手順

確定申告に必要な書類を準備する
CFD取引の確定申告を行う前に、まずは必要な書類を揃えましょう。主に以下のものが必要になります。
- CFD取引業者が発行する年間取引報告書
- 1年間の損益がわかる取引履歴
- 取引手数料や必要経費が確認できる資料
これらの書類は、多くの場合、取引ツールやマイページから無料でダウンロードできます。
確定申告書の作成手順
書類が揃ったら、確定申告書を作成します。代表的な方法は次の2つです。
- 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用
- e-Taxを使ってオンラインで提出
申告書では、CFD取引の利益を「雑所得(申告分離課税)」として入力します。計算した課税対象額を正確に反映させることが重要です。
提出方法と期限
確定申告の提出方法は、オンラインまたは税務署への持参・郵送があります。申告期間は通常、毎年2月16日から3月15日までです。
期限を過ぎると延滞税が発生する可能性があるため、早めの準備を心がけましょう。正しい手順で申告すれば、CFD取引も安心して続けられます。
CFD取引の税金面で注意すべきポイント

損益通算・繰越控除のルールを理解する
CFD取引では、同じCFD取引同士であれば損益通算が可能です。1つの銘柄で損失が出ても、別の銘柄で利益が出ていれば、年間の損益を合算して税金を計算できます。
さらに、確定申告を行うことで、損失を最大3年間繰り越して控除することも可能です。ただし、現物株式の譲渡益や配当金とは損益通算できない点には注意しましょう。
海外業者・国内業者の違いに注意
CFD取引を行う業者によって、税務上の扱いやリスクが異なります。
日本国内の金融商品取引業者は、関東財務局への登録(金融商品取引法)が義務付けられており、一定のルールのもとで運営されています。
一方、海外業者を利用した場合、
- 税務処理が複雑になりやすい
- トラブル時のサポートが限定的
といったリスクがあります。初心者は国内業者の利用が安心です。
年間損益の管理を習慣化する
CFD取引は取引回数が多くなりやすく、年間の利益や損失を把握しづらいという特徴があります。
取引ツールを活用し、定期的に損益を確認しておくことで、確定申告の準備もスムーズになります。税金面を意識した管理が、長く安定して投資を続けるコツです。
まとめ|CFD取引の税金を正しく理解して安心投資を

CFD取引で利益が出た場合、税金がかかり、条件によっては確定申告も必要になります。
税率は申告分離課税で一律20.315%と決まっており、年間の取引結果を合算して計算するのがポイントです。
損失が出た場合でも、確定申告を行えば損益通算や繰越控除を活用できる可能性があります。
また、取引回数が多くなりやすいCFDでは、日頃から損益を管理し、必要書類を早めに準備しておくことが大切です。
関東財務局に登録された国内の金融商品取引業者を利用すれば、初心者でも安心して取引を始めやすくなります。税金の仕組みを正しく理解し、無理のない投資を心がけましょう。







